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十勝2×4協会ブログ

2013年09月06日

最近の木材市況

先人曰く「巳(み)年は荒れる」。昨冬の豪雪の影響で工事の始動が遅れた春先以降、アベノミクスによる急激な円安と公共事業費の大幅増で資材高騰と職人不足に拍車が掛かるなか、消費増税前の駆け込み客からの引き合いに慌ただしく対応するうちに、今年度もまもなく後半戦を迎える。慌ただしい前半戦を象徴するのが建築用の木材価格の高騰。8月8日に開催された北海道木材産業協同組合連合会(道木連)の第1回「エゾマツ・トドマツ対策委員会」(委員長・北端伸行扶桑林業社長)を取材し、「荒れる巳(み)年」の行方を取材した。
 住宅など建築用途に使用される主力製材の輸入材は、北米・欧州の産地によって事情は異なるものの、現地のコスト高で昨秋から「国内相場への波及は時間の問題」とみられていた。
 折からアベノミクス効果で予想を上回る円安・株高に。急激な為替変動は5年前のリーマンショックで低迷した木材相場を別次元に押し上げた。
 為替相場が数円違えば1㎥当たりの木材価格は1000円超上下する。道内のプレカット工場に入荷する製材価格は今春までに昨年比20%超も高騰。40坪の標準的な住宅で、木材コストは在来工法で35万円、2×4工法で40万円程度、増嵩するとみられた。坪当たり8000円から1万円アップする計算。
■商社筋の動き注視
 道木連のエゾ・トド対策委員会では、ホップ(2割)→ステップ(3割)→ジャンプ(4割)で進行する、輸入製材のコスト高が報告された。
 2×4住宅用のSPF製材は、米国の輸入税廃止などによって現地のコスト高が「一段落して頭を打った」状況。しかし、欧州産の輸入製材は4~6月の第1・四半期も入荷量が多く、今秋には契約残の高値品が入荷する。
道内の製材工場や卸売筋では「昨年比4割近い価格アップはマーケットが受け入れないだろう」との観測が根強く、「(木材相場も)この辺がピーク」との声も。
ただ、年明け以降、輸入製材に関わる現地のコスト高や為替相場の急激な変動に対応して、売値に価格転嫁出来ているのは10~20%程度。道内の製材工場や卸売筋の多くが現地コスト高とのギャップに苦慮している。
一方で、輸入製材の港頭在庫は多く、資金回収を急いで商社筋が冬季入り前に投げ売りすれば、価格転嫁に冷や水を浴びせるのは確実。「(商社筋が)動き始めたら(相場への影響は)アッという間」だけに、現地のコスト高と為替相場に苦しむ木材流通の動きを注視している。
■国有林に注文続出
 輸入製材と競合する道産製品についても、KDS4S(人工乾燥材の4面プレーナー掛け)を中心に、今春からアナウンスしてきた10~20%の値戻しがようやく浸透しつつあるところ。
木材市場が扱うリフォーム向けのグリン材や正角材も10~15%程度アップ。短尺材も安値品が姿を消し、実質的な底上げになっているという。
 公共工事の発注増で型枠用の桟木は本州向けにフル生産。パネルも需要に追い付かない状況。
 道内の製材工場はもう一段の価格転嫁を目論んでいるが、原木の供給不足がネックに。
 合板メーカーがトドマツの比率を大幅にアップさせていることもあって、エゾ・トド対策委員会では国有林からの出材量やその販売方法に多くの注文が出された。
 国有林の立木販売では建築用材と一般低質材の棲み分けが曖昧。林道の整備不良の影響で、トラック運転手も原木輸送は敬遠気味。「為替が国産材に有利に働いても、それを帳消しにする問題が山積している」。
 道木連は、国有林の販売方法の改善や木材利用ポイントの継続を北海道森林管理局に要望していく考え。
 価格の値戻しは輸入材の相場次第。今秋以降の木材需給は「流通が鍵を握る」見通しだ。

(北海道住宅通信社より)

admin (2013年9月 6日 15:14) | コメント(0) | トラックバック(0)

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