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十勝2×4協会ブログ

2019年02月28日

消費税8%と10%、どっちで家を建てるのがおトクか

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税率10%になると、2700万円の家が2750万円に
今年10月に予定されている消費税10%への引上げ。税別2500万円の家を建てると、今なら税込み2700万円ですが、10%になると税込み2750万円となり、なんと50万円もアップします。

注文住宅の場合、今年3月31日までに工務店と建築工事請負契約を結べば、完成時期が10月以降にずれても税率が8%になることが決まっています。しかし、4月1日以降に契約して完成引き渡しが10月1日以降になれば税率は10%になります。

これから注文住宅で家を建てようとするみなさんが一番気になるのは、「8%の今、家を建てる契約するのがいいのか、それとも10%になってからの方がいいのか」でしょう。

普通に考えれば、8%で建てた方が得なのですが、前回5%から8%に消費税が上がった時、住宅業界は税率引き上げ前にドドッと駆け込み需要があって忙しくなり、そのあとは大幅な受注の落ち込みを経験。一時的に業界が不況になったほどです。

そこで、住宅会社の業界団体が協力し合って、「受注が激増→激減」といったことにならないよう、政府に政策上の配慮を求めていました。

その結果、消費税が10%になっても損にならない政策を打ち出したのです。
具体的な内容は、これから紹介します。


税率10%で家を建てても得する3つの理由
今年4月以降に工務店と建設工事請負契約を結び、完成引き渡しが10月以降の場合に、以下の3つの特典があります。

1.住まい給付金の最大額が30万円から50万円に増え、受給対象となる年収上限が引き上げられ、対象者が増えます
2.住宅ローン減税制度が拡充され、還付金が増えます
3.次世代住宅エコポイント制度が創設されます

この3つの政策により、ローン金額や返済年数にもよりますが、概ね10%になった方が若干得するようになりました。つまり、今から慌てて工務店と契約する必要はありません。

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次世代住宅エコポイントは、従来の住宅エコポイントが復活した形です。省エネ基準など一定の性能以上の住宅に30万ポイント発行されます。さらにビルトイン食器洗機や掃除しやすいトイレ、宅配ボックスなど、家事負担を軽減する機器・設備にもポイントが付き、また長期優良住宅やZEHに対しても優遇措置があるため、合計すると最大35万ポイント発行できます。

1ポイント=1円相当ですが、現時点でどのような形で還元されるかは決定していません。

8%と10%でおトク額を比較シミュレーションしてみた
ここでは仮に、2500万円を借り入れ、30年返済、利率は1.31%(フラット35の2月金利)として簡易シミュレーションしてみました。

シミュレーションは、価格com(http://kakaku.com/housing-loan/koujo_simulation.asp)で行っています。なお、ローン減税の延長は確定したわけではないので、シミュレーション条件として入力できません。3年間のローン減税額は仮にローン全体の2%相当として計算しています。また、シミュレーション結果は、簡易計算法によるもので、実際の控除額と異なる場合があります。


<試算の前提条件>
世帯年収500万円(税込み)
家族構成 夫婦+子1人(15歳以下)の3人家族
融資金額2500万円
返済年数30年
利率1.31%

【8%時に契約(2019年3月31日)し、2019年9月に入居する場合】
ローン控除額 210.3万円
すまい給付金 10万円
合 計 220.3万円分お得

【10%時に契約(2019年4月1日)し、2019年10月に入居する場合】
ローン控除額 210.3万円+3年間延長で約50万円=約260万円分お得
すまい給付金 40万円
住宅エコポイント 35万円相当の製品・サービスと交換(詳細は決定していません)
合 計 300万円+35万円相当の製品・サービス=335万円分お得

比較すると、10%になった方が約115万円もおトクになります。
税率アップで50万円高くなりますが、115万円おトクになるのなら、差し引いても65万円分おトクです。


税率アップより金利アップの方が問題
しかし、このシミュレーションは、ずっと住宅価格が同じ、という前提です。
半年先も1年先も住宅工事の価格が現在と同じという保証はありません。
なぜなら、建材や建築設備によく使われる石油化学製品の価格が高騰し、職人不足による人件費の上昇などを背景に、住宅価格は値上がり気味だからです。

道内では、消費税率5%時の2013年に比べると、住宅の工事価格は税込みで15%前後上昇したと言われています。さらにこれから土地を購入する場合、土地価格の高騰も頭に入れる必要があります。十勝でも帯広市内は人気の場所は値上がり気味ですし、なにより売り出す土地がなかなか出てこないという状況です。

昨年も樹脂サッシ、壁紙、断熱材、室内ドア、フローリングなどさまざまな建材が値上がりしました。今年の住宅価格がどうなるかについては、現時点では予想できません。木材や石油化学製品の価格は為替動向にも影響されるからです。

さらに、金利動向も気になります。現在はマイナス金利政策のおかげで住宅ローンはかつてない超低金利で借りられますが、この政策も東京オリンピック前後で終わるのではないか、という見方もあります。金利が1%上がって2.31%になったら、総支払額は400万円以上も増えます。消費税増税よりもこちらのリスクの方を深刻に受け止めた方が良いと思います。


結論:4月以降に契約してOKだけど、見積価格の値上げや金利動向に注意
ここで、今回の話をまとめます。

現在、家づくりを考えている方は、焦って3月31日までに工務店と契約する必要はありません。税率が10%になっても、税率アップの差額を補う分の還元が政府の施策によって行われる予定ですので心配はありません。

ただし、建材価格や人件費、土地価格の上昇が続く可能性がありますので、先延ばしした方がおトクとも言えません。また、次世代住宅エコポイントは現時点では2020年3月までの時限措置です。2020年4月以降はこうした増税に伴う緩和措置が縮小される可能性もあります。今年1年でしっかり家づくりの方向性を定め、お早めに十勝2×4協会の会員工務店にご相談ください。


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2018年05月16日

消費税増税を前に家づくりへ動く消費者が増えた?

テレビCMでもおなじみかと思いますが、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を提供する、(独法)住宅金融支援機構北海道支店が、今年2月に実施した「住宅市場動向調査」の結果を4月下旬に発表しました。昔の「住宅金融公庫」と言えば、わかる方も多いかと思います。

回答したのは、道内の一般消費者100人と、長期固定金利住宅ローン「フラット35」を利用したことのある住宅会社108社。

5年前からほぼ半年に1回の割合で同じ調査を続けており、今回はこれまでの結果も踏まえて概要をご紹介します。


金利動向に敏感な一般消費者
消費者に対する質問の中では、「平成30年度は前年度に比べて住宅が買い時である」と答えた方の割合が47%と、全体の約半数になりました。

買い時であると答えた理由については、「消費税増税前の駆け込み」を挙げる人が72%と約4分の3を占めました。「住宅ローン金利が低水準」で43%と昨年に続いて第2位だったものの、昨年に比べ14%もダウンしました。一方で第3位に入った「金利先高感がある」は36%と12%増えました。

このことから、消費者は増税前に急いで買おうとする人が多く、また「今は金利が安いけど、上がるんじゃないか」とかなり気にしている様子がわかります。


住宅会社を苦しめる、人件費・土地・建材の値上がり
さて、住宅会社に「お客さまが一番利用する住宅ローンは?」と聞くと、一番多いのが「3年固定型」で33.3%、次に多いのが「フラット35」で21.0%、「フラット35以外の全期間固定ローン」20.0%、「10年固定型」19.0%の順に続きます。

これは一昨年秋の調査よりも3年固定型が10%もダウンし、フラット35が6%近く増えました。これも「そろそろ金利が上がるのではないか」という消費者の不安心理の表れかもしれません。


一方、住宅会社は58%が「平成30年度は前年度に比べて受注・販売が増える」と回答し、5期連続で過半数を超えました。とても景気が良さそうに見えますね。

その要因として、「消費税増税前の駆け込み需要」を挙げる事業者が全体の59%と最も多かったです。さらに、「景気の回復感が徐々に広がってきているから」も前年度の17%から28%に増える一方、「すまい給付金、贈与税非課税措置、住宅ローン減税等があるから」は、22%から8%に減少。駆け込み需要だけでなく、景気回復の手応えもあるようです。

しかし、住宅会社を苦しめているのは、さまざまな値上がりです。「価格が前年度よりも上昇する見込み」とした回答の割合は、人件費が44%、住宅用地取得価格が52%、建築資材価格にいたっては60%となっています。いずれも5年前に調査を開始してから最高レベルの水準です。

土地価格は、全道的に上がり気味のようです。十勝でも、帯広市内だけでなく音更町などでも便利の良い土地での分譲地開発がほぼ終わっていますので、立地条件と価格のバランスの良い土地が見つかりにくくなっています。札幌では、土地の平均取引価格が5年連続で上昇しており、土地不足が問題になっています。

人件費も、「働き方改革」などが叫ばれ、また職人不足が慢性化している今、職人さんの人件費をきちんと上げようという動きが出てきました。ただ、こうした人件費、建材価格、土地価格の上昇は、家を建てたい人にとっては全て値上がりの原因となるので痛いところです。



※ご興味のある方は、住宅金融支援機構北海道支店のページから結果の概要をダウンロードできますのでご覧下さい。

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2017年02月02日

共働き世帯向け住宅の提案が必要な時代

【共働き家庭が増えてきた背景】
昨年暮れに、ハウスメーカーから変わった住宅が発表されました。
「家事シェアハウス」という聞き慣れない名前。
十勝には営業所がないメーカーなので、ご存じの方は少ないと思います。
これは、若者向けのシェアハウスとは全く違い、子育て世代向け新築住宅に「家事シェア」という考えを取り入れたプランを提案するというものです。
 
北海道はもともと共働き比率が高めですが、全国的にみても共働きの比率が増えています。日中はお父さんもお母さんも家にいない、となると一番困るのが部屋のなかの散らかり具合。
 
バブル崩壊以降、サラリーマンの平均年収は伸び悩むどころか下がっており、男=稼ぐ、女=家を守る、という旧来の図式では生活が維持できないという事情があります。
 
【家事をしない男性】
こうして経済的理由で女性の社会進出が進んできたのですが、家事分担に関しては、日本は後進国かもしれません。平成23年に総務省が調査した統計によると、育児を含む1日あたりの平均家事時間は、男性が42分に対して女性は3時間35分。これが子育て世代まっただ中の35~39歳になると、男性が41分に対して女性は4時間54分。この差はあまりにも大きい。この要因の1つに、女性に対する家事能力の期待が諸外国に比べてとても高いというところにあるようです。
 
外資系企業が10年ほど前に主婦を対象とした調査では、日本人主婦の1日の平均家事時間は4時間24分。これに対し、アメリカや中国は半分ほどの時間で、日本人主婦の仕事の長さが浮き彫りになっていました。
 
調査項目を細かく見ると、たとえば1日3回以上食事を作る、1日3回以上食器を洗うと答えた主婦の割合は日本だけがそれぞれ過半数を超えていました。中国や東南アジアでは、朝食は屋台のような外で食べる割合が結構高かったと思いますし、弁当を子どもや夫に持たせるという習慣も日本ならではのもの。
 
もちろん、そのきめ細かな家事のおかげで、日本人は日々の生活を大切にする習慣が根付き、健康や身の回りの清潔さに対する関心が高かかったことがこれまでの発展や繁栄を支えてきたのだと思います。
 
また、OECD加盟国25カ国で男性と女性の1日あたりの家事労働時間を比較すると、その差が一番小さかったのがノルウェーで31分(男性184分、女性215分)。以下、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの順で北欧諸国が続きます。実は、18位のオーストラリアまでは男性の家事時間は平均150分ほどもあります。これに対して日本はなんとブービー賞の24位でその差237分も(男性62分、女性299分)。
 
一方、国立社会保障・人口問題研究所が5年おきに調査している「全国家庭動向調査」によると、1日の家事時間は専業主婦の妻が約6時間、パートタイムに出ている妻は約4時間半、常勤している妻は約3時間と常勤の妻は短め。それでも、常勤の妻の約3割は平日に1日4時間以上の家事をしているそうです。たとえば時間配分を朝1時間、夜3時間とすると、家に夜6時に帰ってきたら、夕食の時間を除いて10時近くまで家事をしている計算。これじゃ休まるヒマがありませんね。
 
世の中が変わってきたのだから、暮らし方、意識も変えていかないと。
共働きの家庭では、次第にそうなっていくでしょう。
 
 
【家事シェアハウスとは】
ところで「家事シェアハウス」は、男女で「夫はゴミ捨て」「妻は料理、掃除、洗濯」と家事分担を決めてしまうのではなく、「1つ1つの家事をシェアしよう」と各自ができることをできるだけたくさんやる、というプラン提案をしている住宅です。たとえば、家族の持ち物や服などをお母さんが管理するのではなくて各個人ができる仕掛けや間取りを考えています。
 
たとえば、洗面脱衣室を大きめに作ってそこにファミリークローゼットを設け、そこで外出着から部屋着に着替え、外出着はそこに掛けておく。Yシャツなど脱いだものはそのまま洗濯カゴに入れて、そこで洗濯、アイロン掛け、外出着の収納などが一括してできる。さらに、ランドセルや仕事用お父さんの仕事かばんなどは、玄関横に片付けロッカーを作ってそこに各自が収納する。
 
家族みんなが同じルールを共有してそのルールを守れば、片付けの必要性がうんと減る、ということです。
 
もっとも、「家の間取りや仕様を工夫すれば家事がシェアできるようになるのか」という問題は、「ダイニングに勉強コーナーを作れば子どもが勉強するようになるのか」と同じ問題かもしれません。
 
家はスマホやパソコンで言う「ハードウェア」ですが、そこでの暮らし方は「ソフトウェアやアプリ」のようなもの。
子どもが進んで勉強するようになったり、家族全員が家事を少しずつシェアするようになるには、最後は夫婦の努力や心がまえ、そしてそれらを子どもたちにしっかり伝えることが大事なのかと思います。
 
 
それでも、このような問題提起がされたことは注目すべきことですし、何より地域の工務店にとっては、このような提案をプランに盛り込むことで、「お客様のことを思って提案できる」工務店として評価されるチャンスだと思います。
 
札幌でも、主婦の建築士が家事を楽にする動線や収納を提案したモデルハウスを造り、数年前に公開した工務店もあります。子育てに焦点を絞ったプラン提案もいいのですが、「夫の家事協力がないから子育てがゆううつだ」と思っている共働きの奥さま方が多いのなら、家事を楽にする提案、夫や子どもが進んで手伝ってくれるような提案があると、「ここで建てたい」と共感するお客様が増えるのでは、と思っています。
 
 
 
【参 考
■サラリーマン平均年収の推移
http://nensyu-labo.com/heikin_suii.htm
ピーク時より約70~80万円も平均年収が下がっています
 
■NHK 国民生活時間調査2015
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/20160217_1.html
※家事については、
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20160217_1.pdf
の44ページから46ページに記載※
 
■プレゼン資料の元ネタ帳
http://preneta.b2you.biz/shakaisekatu/kaji.html
※元になっている引用データは、
平成23年社会生活基本調査生活時間に関する結果(要約版)
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2011/pdf/houdou2.pdf から
※※家事については、16ページから19ページ(PDFのページ数で28~31ページ)に記載
 
■日本は24位!世界で最も家事時間の男女差が短い国トップ25
http://suzie-news.jp/archives/7230
※上位18カ国の男性家事時間は約2時間半なのに対し、日本は1時間!少なさが際立っている
 
■専業主婦とパート主婦、家事時間の違いはどれくらい? 妻の家事時間をグラフ化してみる(2014年)
http://www.garbagenews.net/archives/1436105.html
※ネタとなった元データは http://www.ipss.go.jp/site-ad/index_Japanese/ps-katei-index.html
 
■15年間ほぼ横ばい 女性の家事時間なぜ減らない
http://style.nikkei.com/article/DGXDZO57007530V00C13A7W14001?channel=DF260120166504&style=1
※時短家電を使えというくだりは「!?」という感じだが、家事代行サービスの利用はこれから流行るかもしれない※
 
■世界で最も家事時間が長い!?日本の「やりすぎ家事」を見直してもっと楽チンに
http://sp.lalu.jp/article/show/aid/2351.html
※ネタとなった元記事は http://www.j-cast.com/trend/2009/08/10047092.html
 
 

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2016年11月05日

工務店とクラフトビール

最近、テレビ番組で「クラフトビール」シェアナンバーワンの会社がその秘密を紹介していました。

「クラフトビールって何?」という人には、「地ビールのことだよ」といえばピンとくるかもしれません。大手会社とは比べものにならないほど小さな事業規模で、個性的な味のビール作り、地域に根ざした事業展開をしています。そういう意味では、工務店と似たところがあります。
 

■基本は弱者の戦略

さて、クラフトビールでシェアナンバーワンの会社(以降、A社とします)は、いろんな手を使って知名度拡大に務め、ビールの新たな需要も発掘してきました。

基本的な考え方は弱者の戦略です。既存のビール愛好家を取り込むというよりは、1.新しい客層を開拓することと、2.ロイヤリティー(忠誠心)のある優良顧客を増やすという2つの戦略です。

 1.新しい客層の開拓
既存のお客様に売り込もうとすると、大手メーカーとお客を取り合うことになり、どうしても宣伝力の差が出てきます。新しい顧客を開拓すれば、そうしたリスクが小さくなります。

そこで、今までビールを敬遠していた20代の若い客層や女性客にビールを売り込むのです。味の好みや試作品の反応など、実際にターゲット層の意見を聞いた上で商品開発を修正し、ビールらしくないネーミングにもこだわって発売したところ、大ヒット商品となりました。

 2.優良顧客を増やす
優良顧客づくりは、要はファン作りです。
A社が十数年前に倒産寸前に追い込まれた頃、頼みの綱は当時まだマイナーだったインターネット通販でした。そこで、登録した顧客を対象にしたメルマガに担当者の人柄がにじみ出るような工夫をし、読む人をクスッと笑わせながら、個性的な味のビールを売りこんでいったのです。

その後、バルを借り切って自社のビールに合う料理を提供するイベントを開催し、社長自身が参加客と楽しみながらビールのおいしさを伝えました。その楽しさをSNSやブログで参加者に拡散してもらい、より多くの人に伝えていくのです。今では、自前のバルを数カ所に持ち、大規模なイベントも開催しているとか。テレビでは、参加者が写真を撮りたくなるような仕掛けを会場にしていると紹介していました。

社長の考えは、「ビールは人を楽しくしないといけない」です。インターネット通販モールが開催する通販店の売上表彰で毎年のように受賞しているA社は、授賞式に社長が必ず仮装して登場するそうです。ふざけているようで、人を楽しませることに真剣なのです。


■ビールづくりへのこだわり
そんなA社は、ビール造りにたいへんなこだわりを持っています。大手メーカーが製造するのは、「ラガー」と呼ばれる低温で長期間発酵させたスッキリした味わいのビール。飲むときも冷蔵庫でキンキンに冷やしますよね。一方でA社が製造するのは、常温で短期間発酵させる「エール」と呼ばれるフルーティーな香りとコクが特徴のビール。赤ワインのように常温よりやや低い温度が飲み頃と言われています。大手とは全く違う味と個性を売り物にしているのです。

こうしてみると、「人が飲むのとはちょっと違うこだわりのビールで、おいしくて楽しい暮らしが過ごせる」という会社のメッセージが伝わってきそうです。

その結果、A社はクラフトビール業界でシェアナンバーワンを獲得し、生産能力拡大のため、大手ビールメーカーと提携もしました。大手コンビニと共同開発して販売したビールは、そのコンビニで月間売上が「一番搾り」を超えたそうです。
 
 

■工務店の家づくりへのヒント
工務店の家づくりも、このビール会社のやり方に今後のヒントがあるかもしれません。

20年ほど前までは、日本経済もまだまだ力があり、家を建てたい人が工務店に行列を作るほどいた良い時代でした。

でも今は、景気が長期低迷し、人口が減少しています。特に家を新築する20代後半から30代の子育て世代が減っています。20年前と比べると、新築の戸建住宅の着工数は約3分の1に減っています。たとえば、十勝で一番住宅を売った会社は、20年前は約150棟建てていました。ところが今は50棟前後。やはり3分の1に減っています。

この数少ない新築需要の中で、家を建てたい人に選ばれるには、先のクラフトビール会社のようなこだわりと明確なメッセージが必要じゃないかと考えます。

そのメッセージは、家の性能やデザインだけでなく、「暮らし方」「生き方」そのものかもしれません。オーガニックで自然素材にこだわった暮らし、クールなデザインで最先端の省エネを実現した暮らし・・・人が感じる魅力はさまざまです。

■生き方、暮らし方で"リア充"になる

たとえば、工務店の社長自身が家庭菜園で収穫した野菜を使ったビザを庭のピザ窯で焼いたり、AppleのHomeKitを活用したLED照明(フィリップス)暖房(デ・ロンギのパネルヒーター)のスマートなコントロールを実際にやってみせるなど、暮らし方、生き方のメッセージをブログやSNSで発信し、それに共感した人が家を建てたいと依頼してくるようなアピールの仕方が必要かもしれませんね。

そのためには、社長自身、社員自身が自分の家族や趣味を大切にし、充実した暮らし、生き方を送ることが必要です。価値観をお客様に押しつけるのではなく、真似したくなるような気持ちにさせる。Facebookでリア充ぶりをアピールするような、そんな感覚かも。人は、楽しそうに生きている人、幸せそうに生きている人を真似てみたいと思うものです。


幸い、十勝2×4協会には、個性豊かなメンバーが揃っています。
性能が良くてリーズナブルな価格の住宅を建ててくる会社、かわいらしい素敵なおうちが得意な会社、かっこいいデザインが得意な会社、近未来の省エネ住宅が得意な会社・・・などなど。

家を建てたい人は、みんな幸せな暮らしを望んでいます。
どの会社と相性が良さそうか、当協会の会員紹介ページをご覧になって選んでみるのも良い方法だと思います。どの会社を選んでも、後悔はしないと思います。

「どの会社を選んでも」と書けるのは、定期的な気密性能の測定や、建築現場を会員がチェックするフレーミング検定などの制度をずっと続けるなど、会員の建てる住宅は一定の性能以上で安心できるからです。性能が安心できるからこそ、ライフスタイルに合った家を選べるのです。


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2016年09月20日

台風10号被害から考える、災害への備え

先月末、台風10号が十勝に大きな爪痕を残しました。「異常気象」「地球温暖化」という言葉がこれほど我が身のこととして感じられたことは、かつてなかったかもしれません。台風が立て続けに道東に上陸するなんてことは、今まで記憶にないことですから。
 
 
ここで改めて今回の台風で被害に遭われたみなさまにお見舞い申し上げます。
 
家屋の浸水被害や流失などの被害に遭われた方は、被害内容や保険の契約内容にもよりますが、火災保険が適用できると思います。保険の内容は、建物被害だけに適用される場合もあれば、家財も含め補償される場合もあります。保険会社や家を建ててもらった工務店などに一度問い合わせしてみてください。
 
また、今後家を新築される方は、火災保険契約を結ぶときに家財被害補償などの特約を付加することをお勧めします。損害保険会社のホームページでは、住む地域、住宅の価格などで簡単に火災保険の保険料見積ができますので、一度調べてみてはいかがでしょうか。
 
参考:損保ジャパン日本興亜
http://www.sjnk.co.jp/kinsurance/habitation/sumai/
 
 
■災害に備える~食料編~
さて、こうした災害に備えてどんな物を揃えていけばいいでしょう?
 
非常用食料や飲料水、多少の雨でも使える防滴型のヘッドライトなど、まとめておくと良いでしょう。地震対策とも共通しますね。
 
1,ミネラルウォーターは、最近は賞味期限が2年ほどあり、スーパーやドラッグストアで買ってきてそのまま非常用として活用できます。緑茶飲料も、缶なら賞味期限が2年あります。

2.100%野菜ジュースは、缶だと賞味期限が3年もあります(ペットボトルは1年ほどです)ので、これも非常用として活用できます。

3.ビスコなど一部のお菓子は、備蓄用に賞味期限が数年間ある長い商品もありますので、非常用食料として買っておき、賞味期限が迫ってきたら家族みんなでおやつに食べれば、ムダがなくなります。大地震時にも言われたことですが、被災した心細い時に甘いものは心も満たしてくれるようです。

4.サバ水煮缶、さんま蒲焼き缶、焼き鳥缶などは、もちろん食料備蓄として使えます。

5,調理には、カセットコンロや登山用のガスストーブのほか、水を入れるだけで火を使わずにレトルトカレーやご飯を温められる調理器具もあります。
 
なお、これらの備蓄は床下収納など、低い位置に収納すると万が一浸水した際に使えなくなったり、取り出せなくなることもあるため、腰から上の高い場所に収納することをお勧めします。
 
 
■災害に備える~グッズ編~
断水時に備え、紙皿や紙コップ、割り箸などの使い捨ての食器類も持っておくと便利です。濡れ紙ナプキンも必須ですね。最近は、ホームセンターに携帯用トイレなども売っています。これらはキャンプ・焼き肉用として買っておけばムダになりませんね。
 
LEDランタンや懐中電灯もいいのですが、登山用のLEDヘッドランプも便利です。両手が自由になり、行動しやすくなります。明るさは100ルーメン以上で照射角度や明るさが切り替えできるものが便利です。アウトドア用品店、大型スポーツ店などで買えます。
 
このほか、停電時に備え、スマホの充電用にモバイルバッテリーや小型のソーラーパネルがあると便利です。モバイルバッテリーは、通販で売れ筋の商品を1つ買っておくと便利です。容量は5000mAHから10000mAHぐらいで十分。スマホなら1.5~3回分フル充電できます。
 
ソーラーパネルは、Amazonで売れ筋となっている4000~6000円ぐらいの商品がオススメ。使わない時は雑誌ぐらいのサイズになり、広げるとその3倍ぐらいの大きさになります。ユーザーレビューを読む限りでは、モバイルバッテリーを1日でかなりの程度充電できるようです。
 
東日本大震災に東京都内で被災して感じたことですが、スマホやワンセグテレビによる情報収集はとても有効です。地下鉄の運転再開などの情報を得たおかげで、避難所から宿泊先までたどり着くことができました。電源が切れるとスマホやワンセグテレビは使えません。数日間の停電に備えるには、最低でもモバイルバッテリーを普段から持ち歩く習慣を付けた方がいいと思います。
 
 
 

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2016年07月07日

「3年前より今建てる方がずっとおトク」と思えるこれだけの事実

■■史上最低金利ってどれくらい安いの?■■
テレビや新聞のニュースで長期固定住宅ローンのフラット35が「7月度の金利が史上最低金利を更新した」と報道されました。返済期間が21年以上35年以下で住宅価格の9割を借りる場合、金利は0.93%となり、初めて1%を切りました。
 
また、長期優良住宅や認定低炭素住宅、一次エネルギー消費量等級5の住宅などは、当初10年間金利が0.3%安くなる「フラット35S 金利Aタイプ」で借りることが可能なので、当初10年間は0.63%と民間の10年金利固定型ローンと同水準かそれ以上安くなります。
 
どれくらいインパクトのある金利なのか、過去の金利と比べてみましょう。
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※グラフをクリックすると拡大表示されます 
 
たとえば2013から2016年までの各7月のフラット35S 金利Aタイプ金利を比較してみます。
グラフをご覧ください。2013年7月が2.05%に対して今月は0.93%。1.12%も安くなりました。特に今年の金利低下が際立っていますね。
 
■■住宅価格が値上がりしても、返済総額がおトクな今の状況■■
これだけでは、そのメリットがイメージしにくいと思いますので、現実的な返済額で比較してみます。
 
2013年7月に税込2,000万円の家と、2016年7月に税込2,200万円の家とを、それぞれ価格の9割をフラット35S 金利Aタイプで借り、35年返済にした場合を比較してみます。
お値段が200万円上がっているのは、消費税の差額だけでなく、人件費や建材価格の上昇で同じ仕様の家でも100~150万円ほど値上がりしていると思われるからです。
 
まず、借りる金額は2013年7月が1,800万円、今月が1,980万円になります。
2013年7月に借りた場合は返済総額が2,470万円、今月借りた場合は2,266万円です。なんと今月借りた方が204万円も安いのです。毎月5千円ほど負担が違ってきます。住宅価格は値上がりしても返済額は安くなる。不思議な金利マジックです。
 
「それならば・・・」と高品質な家づくりをお勧めする立場で、こんな試算もしてみました。「総支払額が同じなら、どれくらい予算が増やせるだろうか」と。
 
そうすると、借入額は2,160万円まで増やせます。つまり、同じ支払い額なら3年前の2,000万円に対し、400万円高い2,400万円の家を建てられるのです(頭金を40万円増額する必要がありますが)。
 
どうですか?「8%増税前に焦って建てなくて良かった」と思っている方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
 
仮に住宅予算を2200万円から200万円増額できれば、外構やキッチンのグレードアップ、あるいは断熱性能アップでよりランニングコストの安い家に・・・、など、いろんな夢が膨らみます。
 
特に、ZEH補助金(125~150万円)をゲットすれば、太陽の恵みを受けられる十勝の特徴を生かし、ほとんど差額なしで光熱費がかからないZEH(ゼロエネルギー住宅)にできます。
 
■■今が建て時です!■■
まとめると、こういうことです。
 
3年前の場合
 2,000万円でふつうの高性能住宅を建てた。ローンは年間72万円、光熱費は年間25万円ぐらい。

今建てる場合
 2.525万円でニアリーZEH(通称;ほぼZEH)を建てた。補助金125万円がもらえる(補助金の件数は限りがあります)ので、実質負担金額は2,400万円。ローン支払いは3年前と全く同じで年間72万円。光熱費は年間3万円。
 
「なんということでしょう!」と言いたくなるおトクさです。超低金利ビフォーアフターと言ってもいいような・・・
 
当然、光熱費は大容量の太陽光発電システムを搭載したニアリーZEHが、太陽光発電の売電によって大幅に安くなりますから、ローン+光熱費の合計では今建てた方が圧倒的に安くなります。35年間の支払総額で比べると、太陽光発電の消耗部品交換などを考えても500万円ほど安くなるでしょう(35年間パネル交換はしないと仮定)。
 
つまり、3年前より今建てた方が高性能でおトクなのです。
 
この超低金利傾向ですが、いつまで続くかはわかりません。2019年の増税前に金利が上がるかもしれません。なぜなら、増税は好景気が前提。好景気になれば金利が上がるのは常識だからです。
 
「増税はまだ先だから、じっくり考えよう」
焦らず、自分なりに情報を集めて建て時を判断するのは正しいことですが、ここ1年ぐらいで建てた方が支払いの面では後悔しないと思います。今、新築を検討している方は、ペースを緩めずに情報収集し、信頼できる住宅会社を早く見つけて建てることをお勧めします。

 

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