2013年10月30日
十勝2×4協会35周年式典が無事終了しました
10月21日と22日の両日、帯広市内で十勝2×4協会35周年の記念行事を行い、無事終了しました。
式典には当会会員だけでなく、全道に広がる地場工務店の団体「アース21」様や、道と連携して高性能住宅を提供する「北方型住宅ECO推進協議会」様、良質な住宅に対して低利でしかも長期間固定金利の有利な条件で融資する住宅金融支援機構様などさまざまな関係者の方々がお祝いに駆けつけてくれました。この場を借りて御礼申し上げます。
式典では、当会会長の赤坂正があいさつした後、新建新聞社の三浦祐成社長(新建新聞編集長)とカナダ在住のK.Ito&Associates・伊藤公久社長が記念講演を行いました。
三浦編集長は、増税後の住宅市場について「陳列主義から推薦主義へ」という言葉を使って工務店の歩むべき道を示唆しました。「お客さまのためならどんな家でも建てられます」と、できることを列挙してショーケースに陳列するようなやり方を止めて、「こういう家が必要なんです」と、性能やプランなどプロとして自信を持って勧められるものを提示する。これを推薦主義と呼んでいます。
注文住宅は、「自分の思い通りにできる、選べる」が特徴です。でも、実際はお客さまにご負担をかけることもあります。「ドアノブのデザインまで自分で選ぶのは大変だった」と言われたお客さまもいます。
一方で、住宅の性能をどこまで引き上げるべきかは、お客さまご自身で判断するのは専門的で難しい事柄です。
幸いにも当会は、設立当初から毎月性能測定会を行い、フレーマー育成に力を入れるなど、プロとして良い家の性能基準をはっきり持ち、技能者育成に力を入れてきました。今回のお話を参考にしながら、各会員が日頃の取り組みを見直すきっかけになればと思います。
伊藤氏は、木造建築が進んでいる国・カナダの取り組みを詳しく紹介しました。カナダ・バンクーバーで2010年に冬季オリンピックが開催されたことは記憶にも新しいと思いますが、このオリンピックでは木造の競技施設が使われました。木造建築を推進するのは森林資源が豊富なだけでなく、CO2排出量の削減に真剣に取り組んでいるからなのです。
実は来年1月、当会では伊藤氏の案内でカナダへ視察に行く予定です。カナダはツーバイフォーの本場でもあり、われわれもいろんな支援をいただいて技術力を磨いてきました。今回の講演は『予備学習』として頭に入れておき、来年実際にカナダの優れた木造建築を見学するなど、見聞を広めたいと思っています。
さて、夜は祝賀会でした。ご来賓の方を始め、多くの方が参加しました。十勝ワインの「清見」が各テーブルに並ぶなど、少しだけぜいたくな気分に浸りました。
翌22日は会員の建築現場や完成現場を視察する見学会でした。朝から昼過ぎまでびっちりスケジュールが組まれ、休憩する間も忘れるほど見て回りました。道産材を使ったツーバイフォー建築現場、デザインにこだわったモデルハウス、北方型住宅ECOレベルの高性能住宅をリーズナブルな価格で建てた完成現場など、見どころがいっぱいでした。
さて、お祭り気分もほどほどに、当会会員は毎日地道に仕事を続けています。
5年後の40周年記念では、さらに盛大にお祝いできるよう、実のある活動を続けていきたいと思いますので、ご支援、ご指導のほどよろしくお願いします。
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2013年10月17日
さぁ~大変だ!!
少子高齢化に伴う人口減少時代の始まりに実施が決まった消費増税。税率10%への引き上げは先送りされる可能性が高いでしょうが、いずれにしても再来年以降、新築市場の縮小が本格的に始まります。7年後の2020年(平成32年)、新築の持家市場は3割超の着工減に晒(さら)され、大工職人など技能労働者の減少に比例するように元請工務店の数も現状の4割にまで減少するでしょう。家づくり・家守りに関わる市場の構造そのものが変わります。「変わる市場・変える経営」と題し、縮小市場に対抗するビルダー・工務店経営のあり方をシリーズ企画で考えていきます。先人曰く「荒れる巳(み)年」。消費増税前の駆け込み客からの引き合いに慌ただしく対応するビルダー・工務店の足元で今、様々な事柄が起こっています。
■工程表のない現場
今秋以降、一部の地場大手ビルダーは1ヵ月に30棟を超える引渡しラッシュを迎えます。現場では電気や設備の専門工事業者が、美装業者と交錯するように慌ただしく出入りします。
ある設備工事業者の話ですが、「今年、家を建てた人は大変ですね」。慌ただしさに紛(まぎ)れて現場の工程管理が混乱していることを危惧する声です。
「どうせ混乱するのだから」と工程表をつくらず、電話一本で下請業者を手配する元請会社の帳場。現場に行ってみると終わっているはずの基礎工事が途中だったり、撤去されているはずの足場がまだ残っていたり。
配管のスリーブを通す間もなく基礎工事が終わっていて、仕方なく配管を回すことも。下請業者の手が回らず基礎工事の段階で1週間以上も施工がストップするケースも少なくありません。
中堅工務店の社長は、新築でもリフォームでも「請負契約書に印を押すときには覚悟が要(い)ります」と言います。直用の大工職人が少なく、外注でどこまで現場をこなせるか、「不安だから」です。
■「1~2年が限界」
地方の元気印工務店の社長も「ここまま走り続けるのも、あと1~2年が限界」とため息をつきます。
住宅の省エネ化、長期優良の推進、既存住宅のストック対策など、国の住宅施策の展開が目まぐるしく、それを支援する補助金事業を活用するにも「体力的にもう限界」だからです。
補助金事業にチャレンジしなければ、住宅施策の流れに取り残される...とわかっていても、「これ以上、社員に無理を言えない」。社長自ら、平日は深夜まで、土日もほとんど休まず働いても「追い付かない」と言います。
「工務店の仕事は家を建てること。構造計算から設計図面の作成まで、工務店が全部こなすこと自体がもう無理」
中小工務店の一部には帳場に突然、退職され、社長夫婦2人で現場対応に追われるところもあります。
■寒い?超高断熱
一方で、札幌版次世代住宅基準のトップランナーに適合するような、壁の断熱厚300㎜超の超高断熱住宅で、建て主から「寒い」というクレームがあった話を聞きました。
気密施工などの工程管理に不備があったかもしれませんが、これを聞いた設計事務所の所長は「5~6月にそういうクレームが起こる可能性はありますね」と頷(うな)きました。
冬場は暖かい超高断熱住宅ですが、暖房の運転を止めた春先以降、躯体の性能を上げるために小さくした開口部からの日射熱が十分取得できず、居住者の意識温度と体感温度に落差が生じ、「寒い」と感じるようです。超高断熱な躯体への「蓄冷」を指摘する見方もありますが、いずれにしても居住者の意識と体感がフィットするのは7月以降になる場合もありそうです。
■あのときが転換点
これらの事柄は氷山の一角です。
しかし、改正省エネ基準(平成25年基準)への適合が義務化され、送配電の分離が予定されている2020年(平成32年)。新築市場が大きく様変わりする7年後に振り返ったとき、「ターニングポイントは(消費増税が決まった)2013年だった」と思うかもしれません。
新築の持家市場が3割超の着工減となり、大工職人など技能労働者の減少に比例するように元請工務店の数が現状の4割にまで減少する...。そんな市場の姿を誰が想定していたでしょう。
そんな縮小市場に対抗するビルダー・工務店経営とは何でしょうか?
次号から①当たり前の省エネ住宅とは?②診断サービスの時代へ③自社の居場所を考える④評判で行列をつくる―などをテーマに、「変える経営」の課題を考えてみましょう。
(北海道住宅通信社より)
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